ギリシャ
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ギリシャ
ギリシャ、子供の頃から歴史が大好きだった私の憧れの国。そのギリシャに幸運にも招待してもらえる事となった。フランス人とギリシャ人のハーフである友人の結婚式に呼ばれたのである。フランスで結婚式を挙げ、その後ギリシャの父親の処へ友人共々ハネムーンがてらの大移動である。フランスらしい楽しい発想である。フランスの結婚式では特大の飴細工とウエディングケーキを作って持っていった。1m30cm位ある巨大な飴細工のピエスを初めて見た出席者からはヤンやの大喝采を浴びた。ショコラで作ったウエディングケーキも大好評でこの瞬間が「パティシエになって良かった」と心から感じる至福の時である。この友人からは今でも会う度に感謝され、そして「あの結婚式は主役をTOSHIとケーキに取られたよ」と冗談混じりに冷やかされる。
婚礼アメ細工

婚礼アメ細工

ギリシャでの最初の2日間は二人の為の祝宴をレストランや海辺で楽しんだ。ギリシャではウゾと呼ばれるフランスでいうPastisのようなアニス風味の酒を飲む。料理はムサカやスブラキなど郷土肉料理はもちろんあるが、魚料理がメインで料理法も日本人の口にもあうシンプルな塩焼きのようなものが多かった。あと忘れてはならないのがオリーブである。「ギリシャ人にとってのオリーブ」これは日本人には置き換えるものがない程のものである。これに匹敵するのは「韓国人にとってのキムチ」「ドイツ人にとってのビール」位のものか。その後友人も含め一行はエーゲ海の島に繰り出したが、私は2日間ですっかり仲良くなったアテネの新郎の親父(おやじ)宅に残った。理由はもちろんアテネの遺跡巡りであるが、残った私をおやじは大層気に入ってくれ歓待してくれた。
友人から聞いてはいたがギリシャというのはヨーロッパらしくなく昔の日本のような頑固親父的な風習が強く残っていた。嘘のような話だがギリシャ人はアメリカなんて今でも赤子のように思っている。「全ての文化の原点はギリシャであってローマも我々の真似をしただけであってアメリカなんて赤子のような物だ!」と。紀元前の話しをまるで自分の若かりし頃のように話す。「もう2000年も前の話しは忘れてこれから先の事を考えようよ。」と言いたくなる(笑)。この愛すべき親父もその典型のようなおやじで初日の夜の食事では、次から次へと料理が出てくる。「もうお腹一杯です」と断ると「食べれなければ残せ。」と又、料理が出てくる。出された物を残す訳にはいかないので「これでもう本当に結構です。」と平らげると、上機嫌で「食べれなければ残せ」ともう一皿でてくる!もう少しで飽食死する寸前でなんとか初日は逃げ延びた。

テーマは 生命の誕生

翌日、親父に教えて貰った通りに地図を片手にアクロポリスやゼウス神殿などを巡った。1日でアテネの主要地を巡るのだから超ハードスケジュールである。おまけに夏のギリシャは半端じゃなく熱い!。へとへとになりながらも昔から夢描いていた遺跡の数々に感動し走破して親父宅への帰途、夕食を食べずに帰るのは失礼だし昨日の悪夢(ごめんなさい!)も蘇りタベルナでたべて帰った(ちなみにタベルナとはビストロの事で決して駄洒落では無いです)。「夕食は食べて来ました。」と言う私に「少しだけ酒の肴を作るから一緒に飲もう」と親父。前日、親父に「行け!」と言われた所を教えて貰ったまんまの道順で全てを廻り感動した事を告げると「本当に全部行ったのか!」と大きな目をより一層まん丸にして喜んでくれた。その後、料理がどんどん運ばれてきてカタストロフに見舞われたのは言うまでもない。(本当にありがとうおやじさん、全部美味しかったですよ)

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