ショコラ製造の道筋02

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Dream of Ecuador

〜エクアドルの夢〜

初収穫編

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コンチングマシーン

ショコラ製造の道筋02
その後1人で2日間徹夜をしてカカオからカカオニブを作り続け200kgを作り終えた。後はイタリアから輸入したコンチングマシーンを待つだけである。
1月16日コンチングマシーンが到着。
 
 
いよいよショコラ製造のクライマックスである。大きな筒状のドラムの中にパチンコ玉のようなものが一杯に入っている。ここにカカオニブを加えて長時間グルグル回していく。

カカオニブを精錬

カカオニブが徐々にペースト状になっていく。ここに粉糖を加える

粉糖投入

少しカカオバターを加えるが他には何も入れないのが私の主義である。 粒子の細かさといい、濃度といい良い感じになってきた。

乾燥

機械の蓋を開けると今まで嗅いだ事の無い強い香りが鼻を衝く。ひと肌程度でどろどろとしたショコラを少しすくい食べてみた。衝撃的な今まで全く口にした事のない味である。まるで果物のようでもあり強烈な発酵の味と酸味が残っている。スタッフに食べさせてみた。一様に驚きの表情を浮かべる。絶賛するもの、首を傾げるもの賛否両論である。もっとも多い意見は酸味が強すぎるのではないかという点である。様子を見に来ていた家内に食べてもらうも珍しく顔をしかめている。 しくじったのか?。サンプルの状態から何度も試作してきたが私自信今までとの違いをあきらかに感じる。味が強すぎるのである。もう一度ローストからやり直すべきなのか? 一旦気持ちを整理させてコンチングマシーンからすでに抜き取り固まったショコラを食べてみた。
 
「これだ!」
 
固まったショコラは味が安定して粗々しさは十分に残っているも絶妙なバランスを保っている。試しに厨房にある十種類以上もの様々なブランドのショコラを試食したが自社製のエクアドルショコラを食べ続けてきた舌にはそれらは全てなんの味わいも感じられないショコラになっていた。
 
ショコラが完成したのが1月16日。そして渋谷での、発表会を2月1日に決めた。無事カカオ豆が届くかどうかも解らない状況下で話を進行させていたので全てが万事ぎりぎりの状態である。兎にも角にもまずこの野性味あふれるショコラを現地エクアドルで皆さんが食べておられたオリジナルの食べ方で披露する事にした。軽くローストしたカカオニブをコーヒーミルで潰してまだ温かい状態を手で丸めて食べて頂くのだ。「Modele du Chocolat」と名付け、来て下さったお客様に振舞う事にした。

modele du chocolat

そして折角のこの素晴らしいショコラをプティガトーにしても販売する事にした。プティガトーは三種類。今回はまずこのカカオの味を前面に出したシンプルかつ力強いものが良いであろう。試作の時間はあまり無いがこの独創的なショコラから湧き出るインスピレーションは直ぐにスイーツへと具現していった。
 
エクアドルショコラの良さを活かした濃厚な焼き菓子と軽いショコラクリームの「グアヤス」。自慢のショコラをムース、ガナッシュ、クリーム、生地に使いわけ様々な味わいを演出した「グアヤキル」。エクアドルの畑でよく食べていたマンゴと組み合わせた「ミラグロ」。全てエクアドルの畑近辺の地名から命名した。

ミラグロ

もう一品。私の真骨頂であるデザート。こちらも2月1日からミッドタウンにてはじめる事にした。このアシェットの名は「アシェット・エクアドル」。ショコラを軸としてエクアドルのYorouzuka Farmで食べたものだけで完成させたかった。
 ショコラの良さも残しつつぎりぎりに焼いたビスキュイにショコラのアイスとソース。付け合せはショコラとは切っても切れない関係のエクアドルバナナをラム酒で真空調理してそれにマンゴとカシューナッツ。いずれも畑のランチで生のカカオと共に頬張った食材である

アシェットエクアドル

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