ありがとうございます。 | 片岡鶴太郎様ありがとうございます(後編)

   
 
よくスタッフに檄を飛ばす言葉があります。
「男も女も40過ぎて輝ける様になりなさい。それには外見だけでなく内面を常に磨き続ける事。10代、20代は持って生まれた素材だけで優越を感じる事があるでしょう。しかし40過ぎれば上っ面のカッコ良さなど剥がれ落ち、内面に鍛えぬいてきた確かな物が輝きを放ち始める。」
自慢の靴と共に
自慢の靴と共に
これはもちろん私の事ではありません。私もスタッフに檄を飛ばしながら自分自身にも叱咤激励している言葉であります。この言葉を口にする時、頭の中に思い浮かぶ方の一人が片岡鶴太郎さまなのであります。 もともと大好きだったのですが友人の西村拓郎さん&神田うのさんのパーティで何度かお会いして以来親しくさせて頂くようになり二、三か月に一度の割合でお食事をご一緒させて頂いております。鶴太郎さまの御父上も私の父と同じく家具職人だった事もあるのでしょうか私達職人を鶴太郎さまはとても可愛いがって下さいます。この鶴太郎さまの所作の美しい事!。お酒の注ぎ方、寿司のつまみ方等々、立ち居振る舞いの一つ一つが美しく、又色っぽいのであります。こういった事は一朝一夕で身につくものではありません。お笑い芸人から俳優、ボクサー、画家、陶芸家、書家等様々な事に挑戦し鍛錬を重ねてきた精神の奥深さが自然とオーラを放ちそして所作に滲みでているのであります。ところが聖人のような日常からお酒が進むに従ってお茶目でやんちゃな鶴太郎さまが時折、顔を出すのも最高なのです。
他にも鶴太郎さまから勉強させられる事の一つが礼儀正しさであります。メールの返信は直ぐに帰ってきます。何かこちらからさせて頂くと必ず直ぐにお礼状が届きます。超多忙な中、あの律儀さにはいつも頭が下がります。私など何か頂き物をしても感謝はもちろんしているのですがついつい御礼状を後回しにしてしまったり忘れてしまう事も恥しながら多々あります。実はこれは家内にも見習わないといけない点でもあるのですが家内は手が届くところにいつも便箋とペンを置いており直ぐにペンを走らせます。最近は鶴太郎さまと家内を見習って私もこれを心がけております。
ほろ酔い気分でツーショット
ほろ酔い気分でツーショット
さて鶴太郎さまとの食事会。いやはや楽しかったです。鶴太郎さまも同じ靴職人の密本さん作の靴を履いて来られ最高のまっこりをたらふくいただきながら靴談義で盛り上がりました。頂いた靴は履き心地も最高でした。私の言う最高というのは最初から足にぴったりフィットして心地良いと言う意味では無く何となく無骨なのです。そこから徐々に足に馴染んでくるのが楽しみなのであります。今回は鶴太郎さまお勧めの韓国料理店で御馳走になった次第でありますが、前々回は僭越ながら私が大好きな店にお連れさせて頂きました。そのお店は人形町の「㐂寿司」。
ある方から「小僧のうちは仮に金があったとしても寿司屋に出入りしたらいかん。あと蕎麦屋で飲むのもいかん」と言われ私はその言葉が妙に心にしみ自分からは決して寿司屋に出入りせず蕎麦屋で酒をたしなむ事はしませんでした。40過ぎて「もういいでしょう」といって頂き、それからまだまだ小僧ではありますが両方恐る恐るデビューさせて頂きました。鶴太郎さまを最初に大好きになったのは一つの映画がきっかけでした。鶴太郎さまはその映画の中で粋で腕の良い寿司職人の役を演じていらっしゃいました。職人に憧れていた私にはそれが最高にカッコよかった。その鶴太郎さまとこれまた大好きで粋でいなせな三代目大将の鮨をつまむのは男冥利に尽きました。