エクアドルの夢 | エクアドルの夢〜第七章〜

 
エクアドルに来てから四日目の朝。まだ夜が明ける前に目覚め段々と空が白んでいくのを眺めていました。ホテルから朝日は見ることが出来ないのが残念でしたがこの大切な一日天気は上々です。いつものようにMr.Debertが迎えに来てくれスタッフと共に車に乗り込みいよいよToshi Yoroizuka Cacao Farmに向かいました。車は舗装された道から外れ山道を登って行きます。
山道に入ったあたりから周りは全てバナナの木に囲まれMr.Debertの「間もなくだ!」という声で全員に緊張が走る。バナナの木に囲まれた山の中に突如としてバスが数台止まっているのが見えた。まずこの山道をバスが上がって来ただけでも驚きである。そして急に視界が開けるとそこには大きな駐車場にテントが張られ既に多くの人が集まっている。その中央部に車が停車すると待ちきれずドアを開け降り立った。なんとその時大きなスピーカーから大音量で歓迎の音楽が流れだしました。おそらく今日の進行役の方なのでしょう大声で歓迎の言葉で私達を迎えてくれます。想像もしていなかった派手な歓迎に心臓が高鳴りそして気持ちも体も高ぶり足は前へ前へと進みます。
そうです向こうに見えているのは紛れも無く日本から持ち込んで預けてあった「Toshi Yoroizuka Cacao Farm」の看板。そしてその向こうには夢にまで見たカカオ農園が遥か遠くまで広がっているのです。
真新しい看板と共に
「真新しい看板と共に」
急いで駆け寄り始めてその広大なカカオ農園をまじまじと眺めそして土を握り締めました。まだほんの20cmほどのカカオの苗とバナナの苗(カカオ3333本、バナナ1111本)が等間隔で植えられています。
約3ヘクタール9000坪の私達のカカオ農園が遂に完成してその土を今、踏みしめているのです。広大な農場には隅々にまでスプリンクラーが完備(井戸を掘り水をひきました)されています。その上通常はそのままの土地に苗木が植えられるエクアドルですが、ここでは全てを一度耕し整地して苗を植えています。
カカオのスペシャリストとして同行した若旅氏をもってしても「こんな農園、エクアドルで見た事が無い!」と言わしめる出来栄えであります。
広大なカカオ農園
「広大なカカオ農園」
「どうだ!どうだ!」と満足気に真っ赤な顔をして詰め寄るMr.Debertに私は何度も何度も「ありがとう!素晴らしい!」とフランス語で繰り返しました。家内は既に隣で涙ぐんで佇んでいます。
苗を踏まない様に注意深く一歩一歩と畑の奥に足を運ぶと農園の中央で40人ほどの人が熱心にレクチャーを受けています。このカカオ農園の説明を受けているのでした。この農園は私達の希望であると共にUnocase全ての希望でもあるのです。この今はまだ小さな苗木が先々一人前に育った暁にはその枝を切り取りUnocaseの皆さんにお分けしてエクアドル中に広めていくのです。厳選して選んだ苗木は一度は絶滅寸前にまで追い込まれたエクアドルに昔からある原種のフェラステロ・ナショナル品種に改良を加えたEET559、576、577。
一番の期待の星EET559の他にも植えているのはもちろん味重視で選んでいるのですが様々な環境への順応性、生産性、安定性、品質の均一性などを加味して専門家に選んで頂いた結果です。
大喜び
「大喜び」
その間にもこの畑で働く従業員やUnocaseの皆さん、近隣の人々など続々と人が集まってきます。遂に遂に本当にこの日を迎える事が出来た喜びと感謝に目が眩むほどの興奮を覚えます。