エクアドルの夢 | エクアドルの夢〜第四章〜

二日目、接ぎ木施設を見学した後Unocaceの前組合長でもありToshi Cacao Farmを実際に運営管理して下さるMr.Vitalianoの農園を見学に行きました。この二日間で何十個味見をした事か。エクアドルに来て初めてフレッシュのカカオ豆を食べたのですが徐々に品種や樹齢、環境などによる微妙な味の違いが解るようになってきました。

エクアドルにしてはこの時期過ごしやすいのですがそれでも赤道直下。カカオ農園を歩き回っていると汗ばみ喉がカラッカラッになってきます。そんな時農園の真ん中で見つけたのがスターフルーツの木。現地の人が棒で採って下さったのを恐る恐る齧り付きました。
「甘い!」なんと甘く美味しい事でしょう。スターフルーツは酸味が強いイメージがあったのですがとんでもない。束の間カカオの事はそっちのけ、皆でスターフルーツに齧り付きました。

その後も各地の農園を見学した後にカカオの集積所を訪れました。

カカオ集積所
「カカオ集積所」
この集積所を訪れた大きな目的の一つは各農園ごとにカカオ豆を発酵、乾燥させたものをそのまますり潰し自らがもつ油脂分のみで固められたショコラの原型が全て保管されているのです。
最近産地限定のショコラも多く売られていますが精々国ごと、品種ごとの分類で又、途中の工程で他の油脂や香料など様々な物が混入されていますがここでは各農園、各品種ごとに全くピュアなショコラ本来の味を比べられるのです。100種類以上もあるそれらのショコラを片っ端から試食させて頂きました。苦味や酸味、甘味、香り、どれをとってもまるで同じ物は無くエクアドル国内だけでもこれほどの味の違いがある事が全くの発見でした。

数あるカカオの中からブラインドテイスティング(名前をあえて見ずに味覚と臭覚だけでチェックしました)において全てのバランスにおいて気に入ったカカオが今、ToshiYoroizukaでカオカ社を通して輸入して使っているオーガニックショコラの主力の豆だと分かった時は心底嬉しくまた新鮮な驚きを感じました。
今後、ToshiYoroizuka Cacao Farmが開設されカカオ豆が収穫出来るようになればなんとしてでもその最高の豆をその農園単体で私の責任において収穫、輸入、加工、製品化まで一本化しやり遂げたいという思いがまた新たに沸々と煮えたぎって来ました。そうすればどんなに美味しいショコラが完成する事でしょうか。



三日目、車に乗り込み、延々と山道を走り続けました。何とか丁度車が一台通れるようなジャングルの中、木々を引き裂く様に車は走っていきます。ジャングルの様に見えますがよく見るとカカオやバナナに手入れをした形跡がみられ、これでも農園のようです。三時間程山中を走り不意に車は停車しました。

到着
「到着」

別に駐車場がある訳ではなく看板がある訳でもありません。確かに周りにはカカオの実がなっていますが野生になっているかの様に見えます。Mr.Debertがおもむろに斜面を下りはじめました。
今まで私が二日間かけて見て回った農園はエクアドルでは最先端の恵まれた農園で、このジャングルのようなカカオの森が一般的なエクアドルのカカオ農園だったのです。

Mr.Debertがこんな山奥まで私を連れてきた理由が解りました。このような現実をしっかりと見据え、そしてこれからやらなければいけない事を強く認識しなければいけないのです。

接ぎ木風景
「ジャングルのようなカカオ農園」